こんにちは、長崎県諫早市の歯医者 諫早駅前歯科です。
歯茎は厄介なものでなかなか悪くなっているかどうかがわかりにくい組織です。
患者様がご自身で歯茎が悪くなってきたなと気がつく時には状態が進行していることがよくあります。
そのような性質から歯茎の病気である歯周病はサイレントディジーズ(Silent Disease)とも呼ばれています。
今回の記事では歯茎の状態をセルフチェックし今のあなたの歯茎が元気なのか悪くなっているのかがわかるようになる記事です。ぜひ最後まで見て行ってください。
目次
歯茎の状態のセルフチェック
歯茎の色
歯茎の色は何色ですか?健康な歯茎はピンク色をしています。歯茎の状態が悪くなると歯茎の血流が悪くなり赤色や茶色になったり白っぽくなる方もいます。歯茎の色は今の歯茎の状態を表しています。歯茎の色が赤や茶色の方も歯周病治療を行い歯茎の状態が良くなるとピンク色の歯茎を手に入れることができます。
歯茎の形や高さ
健康な歯茎は歯と歯ぐきとの間に隙間がありません。歯周病や歯ぎしりや食いしばりなどの影響で歯茎の位置が変わると歯と歯の間に隙間が見えてきます。一度変わった歯茎の位置を元に戻すことはできません。より悪化しないように今後のケアが大切です。
歯磨きの時の出血
歯周病、歯肉炎になると歯茎に炎症が起こります。歯茎に炎症があると少し触るだけで血が出てしまいます。歯磨きの時に血が出てくる部分の歯茎には炎症が起きています。その部分は歯周病菌が生息していますので歯周病治療や歯磨きなどで歯周病菌を取り除き健康な状態を目指していただきたいです。
歯茎の硬さ
健康な歯茎は硬くシュッとしています。歯周病で悪くなった歯茎は柔らかく丸みを帯びてきます。歯と歯の間にある歯茎が尖っている歯茎を目指しましょう。
その他
傷があったり痛みがある歯茎はもちろん健康であるとは言えません。何か違和感がある場合には歯医者さんを受診することをオススメします。
歯の状態のセルフチェック
ツルツルしてますか?
歯の表面についている細菌プラークが目に見えるほどついている人は歯周病のリスクがかなり高いです。目に見えるほどのプラークには細菌が100万個以上あります。細菌の増えるスピードを考えると磨き残された1個の細菌は6時間経つと100万個以上の細菌となり舌で触ってもわかるくらいざらざらしてきます。
歯石はありますか?
歯石はプラークと唾液が混ざり合ってできたものです。お口の中では歯の表面につきます。最も歯石がつきやすいのは下の前歯の裏側です。歯石は顕微鏡で拡大するとウニやサンゴ礁のような形をしています。歯石にはプラークがつきやすく取り除くことが難しいです。また歯石自体が歯茎を傷つけてしまうこともあります。歯石はプラークの温床となりますので全くない状態が望ましいですね。
歯は動きますか?
歯は骨の中に埋まっていてもちろん健康な状態では動いていることはわかりません。歯周病となり骨が減ってくるとグラグラしてきます。グラグラが自分でもわかるようになることにはかなり骨は減少していて維持することはかなり難しくなってきます。
歯の根っこは見えますか?
健康な状態では歯の根っこは見えません。歯周病などで歯茎が下がってくると歯の根っこが見えてきます。歯の根っこは歯の表面とは違い少し黄色い色をしています。歯が黄色くなっているなという人は歯の根っこが見えているのかもしれません。歯の根っこはとてもしみやすいので知覚過敏を自覚している人も少なくはありません。
歯並びはどうですか?
歯並びがデコボコしている(叢生)と歯磨きがしにくいのはもちろん歯並びの影響で歯の周りの骨が少なくなっていることもあります。デコボコしている人はフロス(糸ようじ)での清掃が欠かせません。可能なら歯並びを整える矯正治療も検討されて歯医者さんに相談してみることをオススメします。
舌・頬のセルフチェック
舌の色は?
健康な舌の色はやや白みがかった赤い色をしています。真っ赤な色をしていたり黒くなっている場合には全身に何か問題がある場合があります。舌の汚れ舌苔がついていると舌全体が白っぽく黄色くなっています。舌苔は口臭の原因になるだけでなく誤嚥性肺炎の原因ともなります。歯磨きがうまくできていない人は舌苔がついている人が多いです。
舌の形は?
舌の縁がデコボコしていませんか?デコボコしている人は歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方が多いです。歯ぎしりや食いしばりは歯周病とともに歯茎の状態を悪化させます。舌の縁の形も注意して見てみてください。
頬の内側は?
健康的だとピンク色で滑らかです。白い線が入っていたりデコボコしている人は食いしばりや歯ぎしりをしている可能性があります。頬もチェックして見てください。
歯周病のセルフチェックまとめ
歯茎のチェックポイント
項目 | 健康 | 問題あり! |
歯茎の色は? | ピンク色 | 赤色、茶色、白っぽい |
歯茎の位置は? | 隙間がない | 隙間が空いている |
血は出る? | 出ない | 出る |
歯茎の硬さは? | 引き締まっている | ぶよぶよ、腫れぼったい |
その他 | 傷や痛みがある |
歯のチェックポイント
項目 | 健康 | 問題あり! |
プラークは? | ない・少し | 見てわかる |
歯石は? | なし | あり |
歯は動く? | 動かない・少し | 動いているのがわかる |
歯の根っこは? | 見えない | 見える |
歯並びは? | 良い | デコボコ |
舌・頬のチェックポイント
項目 | 健康 | 問題あり! |
舌の色は? | ピンク | 赤・白・黄色など |
舌の縁の形は? | 滑らか | でこぼこ |
頬の形は? | 滑らか | でこぼこ |
歯周病ってこんな病気
歯周病は、歯の周りの歯肉や骨が破壊される病気です。歯周病の主な原因は、歯垢(プラーク)です。歯垢は、食べかすや細菌が混ざり合ってできたもので、歯と歯肉の境目にたまると、歯周病菌の温床となります。
歯周病は、大きく分けて「歯肉炎」と「歯周炎」の2つの段階に分けられます。
歯肉炎
歯肉炎は、歯周病の初期段階です。歯肉が赤くなったり、腫れたり、出血しやすくなったりします。歯肉炎は、正しい歯磨きや歯科医院での定期検診・治療によって、治すことができます。
歯周炎
歯周炎になると、歯肉が歯から離れて、歯周ポケット(歯と歯肉の間の隙間)が深くなります。歯周ポケットの奥には、歯周病菌が大量に繁殖しています。歯周病菌は、歯を支える骨を溶かして、歯をぐらぐらさせます。
歯周炎になると、歯がグラグラしたり、抜け落ちたりすることがあります。また、歯周病は、全身疾患のリスクを高めるともいわれています。
バランスを保つことで健康を維持する
歯周病は、歯垢と歯周病菌のバランスが崩れることで起こります。歯垢を溜め込まないように、正しい歯磨きや歯間ブラシ、フロスなどの使用で、歯周病のリスクを減らすことができます。
また、歯周病菌は、唾液の中の抗菌物質によっても抑制されます。そのため、こまめな水分補給や、唾液の分泌を促すような食事や生活習慣を心がけることも大切です。
歯周病が関連する全身疾患
歯周病は、歯の周りの歯肉や骨が破壊される病気です。歯周病は、口腔内の細菌の感染によって引き起こされますが、近年の研究で、歯周病とさまざまな全身疾患との関連が報告されています。
歯周病が関連する全身疾患
歯周病が関連する全身疾患の代表例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 心臓病:歯周病菌が血流に乗って全身に運ばれると、血管を傷つけ、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。
- 糖尿病:歯周病があると、糖尿病のコントロールが難しくなるという報告があります。
- 肺炎:歯周病菌が気管に入り込むと、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
- 早産・低出生体重児出産:妊婦が歯周病になると、早産や低出生体重児出産のリスクが高まるという報告があります。
- 認知症:歯周病があると、認知症を発症するリスクが高まるという報告があります。
その他にも認知症や脳血管疾患、誤嚥性肺炎、低栄養なども報告があります。
また歯磨きを良くすることでインフルエンザなどの感染症の予防になるとも言われています。
歯周病の治し方
歯周病の治療は、大きく分けて以下の5つのステップで行われます。
- 検査
まず、歯周病の進行度や原因を調べるために、歯科医院で検査を行います。検査には、レントゲン検査や歯周ポケットの深さを測る検査などがあります。
- スケーリング
歯垢や歯石を除去する治療です。歯ブラシでは取り切れない歯垢や歯石を、歯科医師や歯科衛生士が超音波や器具を使って除去します。
- 検査
スケーリング後に、再び歯周病の進行度や原因を調べるために、検査を行います。
- SRP
歯垢や歯石が溜まりやすくなっている原因を改善する治療です。歯並びを整えたり、歯の根の形を整えたりすることで、歯垢や歯石が溜まりにくくなります。
5. FOPフラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
FOPは、歯周病が進行して歯周ポケットが深くなってしまった場合に行う外科的な治療です。歯肉を切開して歯周ポケットを開き、歯石や歯根膜炎の組織を除去することで、歯周ポケットを浅くして歯周病の再発を予防します。
歯磨きがとても大切
歯周病の治療で歯垢や歯石を除去しても、その後の歯磨きが不十分だと、再び歯周病が進行してしまう可能性があります。そのため、患者様自身でしっかりと歯磨きを行うことがとても大切です。
メンテナンス定期検診って必要?
歯周病は、歯周病菌によって歯茎や歯を支える骨が破壊される病気です。初期の段階では歯茎の腫れや出血などの症状が出ますが、進行すると歯がグラグラしたり、抜けてしまったりすることもあります。
歯周病を予防するためには、毎日の歯磨きや歯間清掃などのセルフケアが大切です。しかし、セルフケアだけで完璧に歯周病を予防することは難しく、定期的なメンテナンスを受けることも重要です。
メンテナンスでは、歯石や歯垢を除去するだけでなく、歯周病の進行度や原因を調べることができます。また、歯磨きや歯間清掃の指導を受けることで、セルフケアのスキルを向上させることができます。
一般的なメンテナンスの間隔は、3ヶ月に1回です。歯周病の進行度や症状によっては、2ヶ月に1回や1ヶ月に1回など、間隔を短くすることもあります。
歯周病は、早期発見・早期治療が大切です。歯茎の腫れや出血などの症状が見られたら、早めに歯科医院を受診しましょう。
メンテナンスの重要性をまとめると、以下の3つです。
- 歯周病の進行を防ぐ
- 歯周病の再発を防ぐ
- セルフケアのスキルを向上させる
さらに、メンテナンスでは、歯磨きがうまくできているかのチェックも行われます。
歯磨きがうまくできていないと、歯石や歯垢が残りやすく、歯周病の原因になります。メンテナンスでは、歯磨きの仕方やブラシの選び方などのアドバイスを受けることで、より効果的なセルフケアを行うことができるようになります。
歯周病を予防するためには、定期的なメンテナンスを受けることに加え、毎日のセルフケアをしっかり行うことが大切です。
まとめ
歯周病は、歯の周りの歯肉や骨が破壊される病気です。初期の段階では歯茎の腫れや出血などの症状が目立ちますが、進行すると歯がグラグラしたり、抜けてしまったりすることもあります。
歯周病の原因は、歯垢(プラーク)です。歯垢は、食べかすや細菌が混ざり合ってできたもので、歯と歯肉の境目にたまると、歯周病菌の温床となります。
歯周病を予防するためには、以下のことに気をつけましょう。
- 毎日の歯磨きと歯間清掃をしっかり行う
- 定期的な歯科医院での検診・メンテナンスを受ける
歯磨きで心がけたいことは歯垢を除去して歯周病菌の繁殖を抑えることがです。歯磨きは、少なくとも1日2回、3分程度かけて、正しい方法で行うようにしましょう。歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロス、マウスウォッシュなどの道具を使いましょう。
定期的な歯科医院での検診・メンテナンスでは、歯石や歯垢の除去だけでなく、歯周病の進行度や原因を調べることができます。また、歯磨きや歯間清掃の指導を受けることで、セルフケアのスキルを向上させることができます。
歯周病は、早期発見・早期治療が大切です。歯茎の腫れや出血などの症状が見られたら、早めに歯科医院を受診しましょう。
歯周病は、歯を失うだけでなく、全身疾患のリスクを高めるともいわれています。歯周病を予防するために、日頃から正しいセルフケアを行い、定期的な歯科医院での検診・メンテナンスを受診しましょう。
諫早駅前歯科 院長 米山隼也人