こんにちは長崎県諫早市の歯医者 諫早駅前歯科 院長の米山です。

近年、高齢化社会の進行に伴い、「フレイル」という言葉を耳にする機会が増えました。フレイルとは、加齢に伴い心身の機能が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を指します。そして、このフレイルの入り口となるのが「オーラルフレイル」です。
目次
フレイルとは?
フレイルとは、加齢に伴い、身体的機能や認知機能が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を指します。以前と比べると歩くのが遅くなったな、疲れやすくなったな、転びやすくなったななどの生活に支障が起きない程度の小さな変化が起き始めている段階のことをフレイルと呼びます。トレーニングを行ったり食生活を改善したりと対策を行うことでフレイルの状態を抜け出し健康な状態に戻ることができる可能性があります。フレイルの状態では、わずかなストレスでも心身のバランスを崩しやすく、要介護状態に陥りやすいことが知られています。

オーラルフレイルとは?
オーラルフレイルとは、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つです。具体的には、滑舌が悪化し言葉が聞き取りにくくなったり、食べこぼし、わずかなむせ、食欲不振などが挙げられます。これらの症状は、加齢による口腔機能の衰えだけでなく、全身の健康状態にも影響を及ぼします。

オーラルフレイルを放置するリスク
まだ困っていないので大丈夫。本当にそうでしょうか?オーラルフレイルは、放置すると深刻な事態を招く可能性があります。口腔機能の低下は、栄養摂取の偏りや嚥下機能の低下を引き起こし、全身の健康状態を悪化させます。また、オーラルフレイルを放置すると、誤嚥性肺炎のリスクがグッと高くなるだけでなく食べ物の硬さや飲み込みにくさが影響して食べることができない食べ物が出て、健康寿命を縮めることにもつながります。
オーラルフレイルのサイン
オーラルフレイルには、以下のようなサインがあります。
- わずかなむせ
- 食べこぼし
- 固いものが噛みにくい
- 飲み込みにくい
- 以前より食欲がない
- 滑舌が悪くなった
- 口が渇く
- 柔らかいものばかり食べるようになった
- 入れ歯が痛いと感じることが増えた
- 食べ物の好みが変わった
ご自身にこれらのサインが現れたり一緒に住んでいる人にこのようなサインが現れた場合には、早めに歯科医院を受診しましょう。
諫早駅前歯科でのオーラルフレイル対策
当院では、定期検診の際に、舌圧や咬合圧を測定し、オーラルフレイルのリスクを評価しています。これらの検査結果に基づき、患者様一人ひとりに合わせた改善策や予防策をご提案いたします。
舌圧測定
舌圧は、舌の力を測定する検査です。舌の力は、食べ物を噛み砕いたり、飲み込んだりする際に重要な役割を果たします。舌圧が低下すると、嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。また食事に時間がかかるようになり食べこぼしや口臭の原因にもなりえます。
咬合圧測定
咬合圧は、噛む力を測定する検査です。噛む力は、食べ物を消化しやすいように細かくする際に必要です。咬合圧が低下すると、栄養摂取が偏り、全身の健康状態に悪影響を及ぼします。噛む力が少なくても食べれる食べ物はごはん、パン、ケーキ、うどんなど炭水化物の多く含まれるものが多く糖尿病のリスクも増えてしまいます。

口腔機能訓練
オーラルフレイルを引き起こす原因の多くはほっぺたや舌などの筋力の低下が関係しています。ほっぺたや舌などの筋肉のことを口腔周囲筋と呼びます。口腔周囲筋をあまり動かさない生活を続けていると筋力が低下します。筋肉は年齢を重ねても成長します。これは口腔周囲筋も同じでトレーニングを行うことで鍛えることができます。パタカラ体操やあいうべ体操。早口言葉、唾液腺マッサージなどが有名な口腔機能訓練です。
口腔機能訓練は訪問診療でも
当院では、通院が困難な方のために、訪問診療も行っています。訪問診療では、よくむせる方や食事にはとろみをつけないと安全に食事ができない人などオーラルフレイルを通り過ぎ、摂食・嚥下機能障害を起こしている方が多く見られます。
訪問診療での摂食・嚥下機能訓練
訪問診療では、摂食・嚥下機能の維持・向上を目指し、専門的な訓練を行います。患者様の状態に合わせて、口腔ケアや嚥下訓練、食事指導などを行います。訪問診療では摂食・嚥下機能障害を発症している場合が多いため効果的な訓練は外来に来られる方とは異なります。食事量や体重の変化、発熱の有無口腔内の清潔性など考慮すべきポイントが多くあります。

口呼吸の弊害
オーラルフレイルとなり口腔周囲筋が衰えると舌をうまく動かせず口を閉じることも難しくなり常に口があいているような状態”おくちぽかん”になってしまいます。おくちぽかんの人の呼吸は口呼吸となってしまいます。口呼吸は、口腔内を乾燥させ、細菌の繁殖を促します。これにより、歯周病や虫歯のリスクが高まり、さらにオーラルフレイルを進行させる可能性があります。
オーラルフレイルの予防
オーラルフレイルを予防するためには、以下の点に注意しましょう。
バランスの取れた食事
やわらかいものばかりを食べるような偏った食事は口腔周囲筋の低下を招いてしまいます。するめや野菜などのよく噛む必要のある食事がトレーニングとなりオーラルフレイルの予防となります。
また、栄養の偏りも糖尿病や高血圧などの全身疾患と関連し歯周病が進行しやすくなってしまいます。歯周病は歯を失う原因の第1位。丈夫な歯が少なくなると噛めなくなるためにオーラルフレイルへと進んでいってしまいます。
適度な運動
適度な運動は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防へとつながります。また摂食嚥下(食べ物を食べて飲み込むこと)は全身運動だということをご存じでしょうか?仰向けになって飲食をしたことがありますか?なかなか難しく吹きこぼしたりむせてしまいます。安全に食事をするためには正しい姿勢での食事が必要です。食事をするのに正しい姿勢を保つためにも定期的に適度な運動を実行し全身の筋力をキープし続けたいですね。
口腔ケア
毎日の歯磨きや、定期的な歯科検診を受けましょう。虫歯や歯周病となると噛めなくなるのでバランスのとれた食事は難しくなります。また運動をする際にも力が入りにくくなるため適度な運動をつづけることも難しくなってしまいます。
8020運動
日本歯科医師会が推奨している8020運動というものがあります。これはいつまでも自分の歯で食事ができ食べる楽しみを味わうため、食生活を豊かにし、張りのある日々を過ごすため、生活習慣病などの病気の予防や、からだ全体の健康の維持・向上に寄与するために設定されたものです。80歳で20本の歯を残せるように、日頃から口腔ケアを心がけましょう。
オーラルフレイルは自覚症状がない?
オーラルフレイルは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、自覚症状が現れた時には、すでにオーラルフレイルが進行している可能性があります。定期的な歯科検診を受け、早期発見・早期対策を心がけましょう。
まとめ
オーラルフレイルは、早期発見・早期対策が重要です。気がつきにくく必要性も感じにくいですがオーラルフレイルを過ぎると回復することがとても難しくなります。まずは定期的な歯科検診を受け、現在の状態を知ってみましょう。
【当院では、オーラルフレイルに関するご相談も承っております。】 お気軽にご相談ください。
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