お子様のおくちがいつもポカンと開いているのが気になる保護者の方はいませんか?もしかしたら、それは「おくちポカン」と呼ばれる状態かもしれません。おくちポカンは、見た目の問題だけでなく、お子様の成長や健康にも様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
今回は、おくちポカンの原因の一つである「低位舌」と、その改善に役立つ「舌圧検査」、そしてご家庭でできるトレーニングについて詳しく解説します。

目次
おくちポカンとは?
おくちポカンとは、安静時や睡眠時など、本来唇を閉じているべき時に、お口が常に開いている状態を指します。
おくちポカンの原因
おくちポカンの原因は様々ですが、代表的なものとして以下の要因が挙げられます。
- 鼻呼吸の阻害(鼻炎、アレルギーなど)
- 口周りの筋肉の弱さ
- 舌の位置の異常(低位舌)
おくちぽかんが引き起こすと予測される問題
歯並び・噛み合わせへの影響
出っ歯・受け口:顎の成長には舌の位置が大きく影響を与えます。おくちポカンの状態だと舌の位置は下の歯の裏を触っているような位置にあります。良い状態の舌は上顎に吸い付くような形で位置し、上顎の正常な成長を促しますので出っ歯や受け口になってしまうことが多くみられます。また、唇による歯を抑える力が弱いため歯が外側に倒れ出っ歯となりやすくなってしまいます。
開咬:前歯が噛み合わない状態になり、食べ物を噛み切りにくくなります。
叢生:十分にあごの成長が行われないために歯の生えるスペースが少なくなり歯がデコボコになってしまう叢生と呼ばれる歯並びとなります。
それぞれの歯並びの詳細がきになる方はこの記事を参照されてください。
口腔機能への影響
口呼吸の習慣化:おくちぽかんは唇に常に力が入っていない状態。そのような状態が続くことで唇の筋力は低下しさらに口を閉じることが難しくなってしまいます。
咀嚼・嚥下機能の低下:おくちぽかんが続くと低位舌となります。低位舌は舌に力が入っていない状態。つまり舌の筋力が減少し舌を自由に動かすことができなくなります。舌を器用に動かすことができないため、食べ物をうまく噛み砕いたり、飲み込んだりすることが難しくなります。よくみられる現象として食事の時間が長くなったり逆にあまり噛まずに丸呑みのような食事になることがあります。
発音への影響:舌を自由に動かすことができないため、サ行やタ行などの発音が不明瞭になることがあります。滑舌の悪さからおくちぽかんに気がつくこともよくあります。
全身の健康への影響
免疫力の低下:鼻呼吸では鼻毛などのフィルターにより細菌やウイルスが体内に入ることを防いでくれます。しかし口にはそのようなフィルターはないため、口呼吸を行うと細菌やウイルスが直接体内に入りやすくなり、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなります。
睡眠の質の低下:舌の筋力が少ないといびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こし、睡眠の質が低下することがあります。睡眠の質が低下することで日中に眠たくなりやすくなったり集中力が長く続かないと言ったことが起こりやすくなります。
姿勢の悪化:口呼吸を楽にするために、猫背や前かがみになることがあります。
低位舌とは?
低位舌とは、舌が本来あるべき位置(上顎の前歯の裏側あたり)よりも低い位置にある状態を指します。
低位舌の主な原因
- 舌小帯短縮症
- 舌圧の弱さ
- 指しゃぶりなどのくせ
舌小帯短縮症とは?
舌小帯とは、舌の裏側と口の底をつなぐ薄い膜のことです。舌小帯短縮症とは、この舌小帯が短いために舌の動きが制限される状態を指します。
舌小帯短縮症があると、舌を十分に挙上することができず、低位舌の原因となります。
舌小帯短縮症の改善方法
舌小帯短縮症の改善には、手術が必要となる場合があります。しかし、手術後の舌のトレーニングも非常に重要です。
トレーニングの内容は、舌圧の弱さに対するトレーニングと共通する部分が多く、舌の筋肉を鍛え、正しい位置に舌を置くことを目的とします。
舌小帯が短いこの中には舌を自由にうごかせる感覚がない子もいますのでまずは動かせるということに気づくことから始めることも必要となってきます。
舌圧の弱さとは?
舌圧とは、舌の筋肉の力のことを指します。舌圧が弱いと、舌を正しい位置に保つことができず、低位舌の原因となります。
舌圧検査とは?
舌圧検査とは、舌の筋肉の力を測定する検査です。舌圧検査を行うことで、舌の筋肉の弱さを客観的に評価することができます。
舌圧検査で分かること
- 舌の筋肉の強さ
- 舌の筋肉の動き
- 舌の位置
舌圧測定器
舌圧検査では、専用の測定器(舌圧測定器)を使用します。舌圧測定器は、舌の筋肉の力を数値化し、客観的に評価することができます。
舌圧測定器を使わない筋力診断
舌圧測定器がない場合でも、舌の筋力を診断する方法があります。それは、舌全体を上顎に吸い上げてポンと弾くように舌を打ち鳴らす動き「ポッピング」です。
ポッピングがスムーズにできない場合や、音が小さい場合は、舌の筋力が弱い可能性があります。

舌のトレーニング
舌の筋肉を鍛えるためには、以下のトレーニングが効果的です。
ポッピング
舌の筋力を調べるのにも用いられますがそのままトレーニングとしても活用可能です。
- 舌全体を上顎に吸い上げます。
- 舌の付け根に力を入れ、舌をポンと弾くように打ち鳴らします。
- 10回を1セットとし、1日3セット行います。
ガムを上顎に押し付けるトレーニング
- ガムを用意します。
- よく噛んだガムを舌の上に乗せ、上顎に押し付けます。
- 3秒間キープし、ゆっくりと力を抜きます。
- 10回を1セットとし、1日3セット行います。
ペコぱんだ
- 「ペコぱんだ」を用意します。
- ペコぱんだを口にくわえ、舌で押し出すように力を加えます。
- ペコぱんだが「ペコッ」と鳴ったら、力を抜きます。
- 10回を1セットとし、1日3セット行います。
トレーニングのポイント
- 毎日継続して行うことが大切です。
- 無理のない範囲で、少しずつ回数を増やしていきましょう。
- お子様が飽きないように、楽しくトレーニングを行いましょう。
まとめ
お子様のおくちポカンは、見た目の問題だけでなく、成長や健康にも様々な影響を及ぼす可能性があります。早期発見と適切な対策が、お子様の健やかな成長をサポートする鍵となります。
この記事では、おくちポカンの原因の一つである低位舌、その改善に役立つ舌圧検査、そしてご家庭でできるトレーニングについて詳しく解説しました。
お子様のおくちの状態が少しでも気になる場合は、お気軽に歯科医師にご相談ください。専門的な検査とアドバイスで、お子様一人ひとりに合わせた最適な改善方法をご提案いたします。
おくちポカンは、早期に発見し、適切な対策を行うことで、改善が見込めます。お子様の健やかな成長のために、ぜひ一度、諫早駅前歯科に相談ください。
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