「子どもの歯にオレンジ色の汚れがついている!」
仕上げ磨きをしていて気づいたとき、思わず「虫歯?」「カビ?」と心配になる親御さんも少なくありません。実際、見た目はサビのような色合いで不潔に見えやすく、驚いてしまうのも当然です。

しかし安心してください。このオレンジ色の汚れは、すぐに歯が溶けてしまうような危険なものではなく、歯の表面に残った歯垢が変化したものです。とはいえ放っておくと虫歯や歯ぐきの炎症の原因になるため、仕組みや対策を知っておくことが大切です。
目次
オレンジ色の汚れの正体とは?
歯の表面には、毎日の食事や唾液の成分から細菌が集まって歯垢(プラーク)と呼ばれる膜をつくります。歯垢は通常は白っぽく目立ちにくいのですが、取り除かずに残しているとだんだん厚みを増し、そこに含まれる細菌の種類や食べ物の色素の影響でオレンジ色や茶色っぽい見た目になることがあります。
特に子どもの歯は大人の歯よりも表面がやわらかくザラついているため、色が沈着しやすい傾向があります。仕上げ磨きを頑張っていても、磨き残しがあればすぐに色がついてしまうのです。
どのくらい放置するとオレンジ色になるの?
歯垢はわずか数時間で形成され、1日で目に見えるほどたまります。さらに放置すると次のように変化していきます。
- 1〜2日目:白っぽいプラークが歯の表面に付着
- 2〜3日目:厚みが増し、細菌の種類が変化して成熟
- 3日〜1週間:色素を持つ細菌や飲食物の成分が入り込み、オレンジ色に変化
つまり、オレンジ色が見えるときは数日間しっかり磨けていないサインだといえます。
オレンジ色になる人とならない人の違い
同じように磨き残しがあっても、必ずオレンジ色になるわけではありません。違いを生む要因はいくつかあります。
細菌の種類
オレンジ色を作るのは、クロモゲニックバクテリア(色素を産生する細菌)です。この細菌が多い人では色が目立ちやすくなります。
唾液の性質
唾液の成分や量は人によって異なります。洗浄力が強い人は色がつきにくい一方、カルシウムやリンが多い人はプラークが硬くなりやすく、着色が残りやすい傾向があります。
食生活
カレーやケチャップ、ジュースなど色の濃い食品、甘いお菓子の摂取が多いと、細菌の繁殖や色素沈着が進みやすくなります。
歯の状態や年齢
乳歯や生えたての永久歯は大人の歯よりもエナメル質がやわらかく、着色が目立ちやすい特徴があります。また、矯正装置や歯並びの重なりがある部分も汚れが残りやすい場所です。
オレンジ色の汚れがよく見られる場所
特に次のような場所は、歯ブラシの毛先が届きにくいためオレンジ色がつきやすくなります。
- 奥歯のかみ合わせの溝
食べかすがたまりやすく、毛先をしっかり入れないと残ってしまいます。 - 奥歯のほっぺた側(頬側)
歯ブラシの角度が合わず、磨き残しやすい部分。子どもの仕上げ磨きでは特に見落とされやすいです。 - 下の奥歯の内側(歯ぐき沿い)
唾液腺が近く、常に湿っているためプラークがたまりやすい場所です。
こうした「見えにくくて磨きにくい場所」を意識することが、予防の第一歩です。
見た目だけでなく健康にも影響がある
オレンジ色の汚れは見た目の問題だけではありません。
- 不潔な印象を与える
口を開けたときに目立つので「きちんと磨いていない」と思われやすい。 - 虫歯のリスクが上がる
細菌が酸を出して歯を溶かすため、特に子どもは虫歯になりやすくなります。 - 歯ぐきの炎症につながる
歯肉炎や歯周病の原因になり、腫れや出血を起こすこともあります。 - 歯石に変化する
数週間放置すると唾液中のカルシウムで固まり、歯ブラシでは取れない歯石になります。
家でできる対策
歯ブラシの使い方を工夫する
- 奥歯の溝には毛先を縦方向に当てて小さく動かす
- 奥歯のほっぺた側は頬を指で軽く広げて角度をつける
- 下の奥歯の内側は歯ブラシを立て気味にして、歯ぐき沿いをなぞる
フロスやタフトブラシを使う
歯と歯の間や細かい凹みに残った汚れは、普通の歯ブラシでは落とせません。デンタルフロスや小さなタフトブラシを併用すると、より効果的に落とせます。
子どもの仕上げ磨きを続ける
小学生低学年くらいまでは、仕上げ磨きが必要です。特に就寝前はしっかり行いましょう。
歯科医院でのクリーニングも大切

自宅でのケアだけでは限界があります。オレンジ色の汚れが目立ってきたら、歯科医院でのクリーニングを受けるのがおすすめです。
- 専用の器具で歯の表面をきれいに磨き上げる
- 歯石がついている場合はスケーリングで除去
- おすすめのうがい薬で再付着を防ぐ
定期的なプロケアと毎日のセルフケアを組み合わせることが、一番効果的な予防法です。
まとめ
オレンジ色の汚れは、数日間磨き残された歯垢が成熟して色素沈着したものです。誰にでも起こりうる現象ですが、細菌の種類や唾液の性質、食生活や歯の状態によって現れやすさに差があります。
特に奥歯のかみ合わせ、奥歯のほっぺた側、下の奥歯の内側は要注意。毎日の歯磨きでは意識して毛先を当て、仕上げ磨きやフロスを取り入れることが大切です。
見た目の問題だけでなく、虫歯や歯ぐきのトラブルにつながる可能性もあるため、定期的に歯科医院でのチェックとクリーニングを受けながら、お口の健康を守っていきましょう。
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